交通事故

交通事故の損害賠償を弁護士に依頼すべき理由(交通事故)

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交通事故は、被害者にとって身体的・精神的な苦痛だけでなく、経済的な負担も伴う深刻な問題です。損害賠償を適切に受け取るためには、法律や交渉の専門知識が必要です。本記事では、交通事故の損害賠償を弁護士に依頼するべき理由を詳しく解説します。

第1 交通事故の損害賠償の複雑さ

交通事故の損害賠償請求は、単なる慰謝料請求にとどまらず、多岐にわたる項目を含みます。これらは専門知識なしに適切に主張することが難しい場合があります。

1 損害賠償の種類と計算方法

交通事故の損害賠償には、例えば以下のような項目があります:

  • 治療費:病院での診療費や入院費用。
  • 休業損害:事故のために仕事を休むことで失われた収入。
  • 慰謝料:精神的苦痛に対する補償。
  • 逸失利益:後遺障害が残った場合の将来の収入減少分。
  • 物的損害:車両の修理費や壊れた物品の補償。

これらの計算には法律や保険制度、裁判例や実務で通用している算定基準についての知識が必要です。例えば、逸失利益を正確に算定するには、被害者の年齢や職業、後遺障害等級に基づく労働能力喪失率、中間利息の控除などを考慮する必要があります。

2 後遺障害等級認定の重要性

後遺障害等級は、損害賠償額を大きく左右します。適切な等級認定を受けるためには、後遺障害診断書の内容や治療経過等が重要ですが、弁護士は後遺障害の認定基準を踏まえ、等級獲得に向けた助言やサポートをすることができます。

第2 保険会社との交渉の難しさ

保険会社は、被害者に支払う賠償額をできるだけ抑えようとする傾向があります。現在の実務では、弁護士が介入するか否かで、人損についての損害賠償額の算定基準が変わります。このため、弁護士に依頼するだけで大幅に増額されることは珍しくありませんが、弁護士に依頼しなかったために被害者が十分な補償を受けられないことがあります。

1 保険会社の提示額と実際の相場の差

保険会社が提示する賠償金額は、弁護士基準(裁判基準)に比べて低いことが多いです。弁護士基準は、過去の裁判例をもとに算出されるため、保険会社の提示基準よりも高額なことが一般的です。

2 交渉の専門知識の必要性

保険会社の担当者は多数の交通事故案件を担当する交渉のプロです。法律や判例の知識が乏しい状態で交渉を進めると、不利な条件で合意してしまうリスクがあります。弁護士が代理人となることで、被害者の利益を最大限に守ることができます。

第3 弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを以下に挙げます。

1 法律の専門知識と経験

弁護士は、交通事故に関する法律や裁判例に精通しており、適切な損害賠償額を計算し、被害者の権利を守るための主張を行うことができます。また、後遺障害等級認定のための手続きや後遺障害診断書の作成依頼についての助言も行います。必要に応じ、専門医による意見書を取得することも可能です(作成費用は後述の弁護士費用特約により支出されるのが一般的です。)。

2 交渉の代理

弁護士が保険会社との交渉を代行することで、被害者が直接対応する負担を軽減します。自分の置かれた状況や今後の見通しについて弁護士からわかりやすく説明を受けることも可能です。さらに、弁護士が交渉にあたることで、適正な賠償金額を受け取る可能性が高まります。

 既に治療を終了し、保険会社から損害賠償額の提示を受けている場合でも遅くはありません。示談の前に一度は弁護士に相談することをおすすめします。

3 訴訟対応

交渉が不調に終わった場合でも、弁護士は訴訟を提起し、裁判での主張を行うことができます。弁護士の介入により保険会社も訴訟を視野に入れることとなり、保険会社との交渉も有利に進めることができます。

第4 早期解決と精神的負担の軽減

弁護士に依頼することで、手続きがスムーズに進み、解決までの時間が短縮されることが期待できます。また、被害者が法的手続きや交渉に悩む時間を減らし、治療や日常生活に集中できる環境を整えることが可能です。

第5 弁護士費用特約の活用

多くの自動車保険には「弁護士費用特約」が付いており、この特約を利用すれば、弁護士費用を保険で賄うことができます。これにより、経済的な負担を気にせず弁護士に依頼できるため、まずは弁護士費用特約の有無を確認することをお勧めします。多くの事案では、弁護士への依頼による自己負担はありません。

まとめ

交通事故の損害賠償請求は、専門的な知識と交渉力を要する複雑な手続きです。弁護士に依頼することで、適切な賠償を受ける可能性が高まり、被害者の精神的・経済的負担が軽減されます。特に、保険会社との交渉や後遺障害等級認定など、専門性が求められる場面では、弁護士のサポートが不可欠です。

交通事故に遭われた際は、まず弁護士に相談し、適切なサポートを受けることを強くお勧めします。