離婚・男女問題
財産分与とは?詳しく解説(離婚・男女問題)
財産分与は、夫婦が離婚する際に、結婚生活中に築いた財産を分け合う手続きのことを指します。これは、法律上の義務であり、公平な離婚を実現するための重要な要素です。本記事では、財産分与の基本的な仕組み、具体的な分与方法、そして弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。
目次
第1 財産分与の基本
財産分与は、離婚後の経済的な再スタートを支援するために設けられた制度です。民法第768条に基づき、離婚する夫婦の一方が他方に対して財産の分与を請求することができます。財産分与には以下の3つの側面があります。
一 清算的財産分与
婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を公平に分配するものです。これには、不動産、預貯金、株式、車などが含まれます。
二 扶養的財産分与
離婚後、経済的に弱い立場にある配偶者を支援するための財産分与です。特に専業主婦や収入の低い配偶者に対して行われることが多いです。
三 慰謝料的財産分与
不貞行為やDVなど、離婚原因に対する責任がある場合、その補償として財産分与が行われる場合があります。
財産分与の範囲や割合は個別の事情によって異なるため、適切に判断するには専門的な知識が必要です。
第2 財産分与の対象と範囲
財産分与の対象となる財産は、「婚姻中に夫婦が協力して築いた財産」に限られます。以下に具体例を挙げます。
1 財産分与の対象になるもの(夫婦共有財産)
- 不動産(家や土地)
- 預貯金
- 車
- 保険の解約返戻金
- 退職金(婚姻期間に対応する部分)
- 株式や投資信託
2 財産分与の対象外となるもの(特有財産)
- 結婚前に各自が保有していた財産
- 相続や両親等から贈与により取得した財産
- 個人的な債務(たとえばギャンブルによる借金)
財産の範囲を適切に把握するためには、詳細な調査や資料収集が必要です。隠し財産や不正行為を防ぐためにも、専門家のサポートが重要です。
第3 財産分与の進め方
財産分与は、次の手順で進められます。
1 財産の把握と分類
夫婦の財産をリストアップし、「共有財産」「特有財産」「負債」などに分類します。この段階で漏れがあると不公平な分与となる可能性があります。財産分与対象財産を決める基準時は別居時になるのが原則です。
2 話し合いによる合意
夫婦間で話し合い、分与方法について合意を図ります。合意が成立した場合、財産分与についての合意書(離婚協議書等)を作成しますが、特に金銭の支払を受ける側である場合には公正証書化しておくことをおすすめします。
3 調停または裁判
話し合いが難航した場合、家庭裁判所での調停に移行します。通常は離婚調停で財産分与についても話し合い、話合いが決裂した場合にどちらかが訴訟提起すれば離婚裁判になります。離婚後に財産分与について調停を申し立てることも可能ですが、この場合、調停が不成立の場合は家庭裁判所の審判となります。
いずれについても、客観的な証拠資料や、財産分与のルールに基づいた主張が求められます。
第4 弁護士に依頼するメリット
財産分与は感情的な衝突を招きやすく、法律の専門知識が欠かせません。弁護士に依頼することで以下のメリットが得られます。
一 財産調査や財産分与額の算定
弁護士は財産の全体像を明らかにするための調査や資料収集を行うことができます。特に、弁護士会照会は弁護士のみが利用できる特別な制度であり、当事者のみでは行うことができない調査も可能です。また、財産分与額の算定のルールに従って適切に算定することが可能です。
二 適切な交渉
弁護士は交渉のプロとして、法的根拠に基づいた主張を行い、公平な財産分与を実現します。財産分与のルールに従わない要求は、説得力を持ちません。
三 調停や裁判手続きの代理
調停や裁判になった場合、弁護士が代理人として迅速かつ的確に対応します。特に複雑な事案では、弁護士のサポートが成功の鍵となります。調停や裁判を代理できるのは、弁護士だけです。
四 精神的負担の軽減
弁護士に依頼することで、感情的な対立を和らげ、自らの置かれた状況(裁判所の判断の見通し)を正確に把握したうえで判断を下せるようになります。
まとめ
財産分与は離婚後の生活を支える重要な手続きです。しかし、対象となる財産の把握や分与方法の決定には専門的な知識が必要であり、弁護士のサポートを受けることで公平な解決が期待できます。財産分与についてお困りの方は、ぜひ信頼できる弁護士に相談してください。